保育園の帰りに、インフルエンザの予防接種に行った。
娘が0~1歳の頃は良かったなー。医院に着いても診察室に入っても、医師が注射器を出しても、注射針を刺された瞬間でさえ、ワケわかってなくてキョトンとしたままコトが終わってしまっていたから。
3歳の今じゃ、いつもと違う道を通るだけで敏感に「どこいくの?」と訊いてくる。
「どこに行くと思う?」
「おかいもも?」
「う~ん、残念。惜しいけどハズレー」
「おとうさんの おむかえ?」
「近いけど(どこがや)ハズレー」
「きらきら みにいくの?(クリスマスの頃、電飾をつけている家を見て回った)」
「…ふうちゃんの頭の中は、楽しいことばっかりやね。でもハズレ」
そんな会話を交わしている間に、医院に着いた。
途端に娘の顔が曇る。
「ちゅうしゃ こわいー」
「大丈夫。すぐ終わるよ」
「ちゅうしゃ いやー」
「お風邪こんこん、ならへんためやし」
なんとかなだめながら、診察室に連れて入った。
諦めたのか観念したのか、やや抵抗したものの、さほど暴れもせず注射を終えて、帰るとき。
子どもを連れて医院や薬局に行くと、シールだのティッシュだのの小物をくれることが多いのだが、この医院ではキャラクターの絵がついたポケット・ティッシュをいつもくれる。
会計のとき、手渡された『スヌーピー』のティッシュを娘に渡すと。
「あんぱんまんの てぃっしゅはー?」
苦笑する受付のお姉さん、赤面する私。
昨年、ここでもらったポケット・ティッシュの絵柄が『アンパンマン』だったのを、覚えているのだ。
…1年前のこと、覚えているんだ。
それって、すごくない?
幼児って、何歳の子がどのくらい遡って覚えていられるものなんだろう。
そりゃ、個人差は大きいだろうし、現実と虚構の区別はつかない年齢だから、調べようがないだろうけどね。
私の最初の記憶は、以前にも書いたが幼稚園の入園式。娘はその歳に近づきつつあるので、そろそろ最初の記憶が始まる頃かな…? と、思っているのだ。
願わくば、彼女の記憶が、楽しくて幸せに満ちたものでありますように。
…少なくとも、子ども時代のうちは。
辛いことや悲しい目にあったことは忘れて、楽しいことばかり覚えていてくれたら、いいな。
ちなみに、娘にとって過去は全て“きのう”。1週間前のことでも半年前のことでも、全部「きのう ○○したなぁ」と言います。