子どもへのまなざし
佐々木 正美 / / 福音館書店
ISBN : 4834014738
この本、実は4年近く前、娘がまだお腹のなかにいるときに、夫が知人から薦められて買ったのだけれど。
これから“オヤ”になる者として、読んでおいたほうが良いとはわかっていても、なかなか開く気になれなかった。今回ようやく読了することができたのは、オヤ業4年目にして、やっとこういう“正論”というか“エラい先生のご意見”を受け入れ、自分なりに解釈し、自分の育児に役立てることができるという心構えができた…のだ、と思う。
けれど、やはり辛かった。自分が受けてきた育児と、あまりに逆のことが書いてあるから。
「してはいけない」ことをされて育った私は、一体どうしたらいいのだろう? 私には子どもを育てる資格はないのだろうか。
落ち込まされたり、励まされたり。1冊の本でこれほどアップ・ダウンすることもあまりない(ま、普段は面白いばっかの本しか読んでいないから)。
けれど、読んでよかった。
それから一般論としては、~中略~いまのお母さんは一日中、自分の子どもと向かい合っていられない。多くのお母さんは耐えられないのです。~中略~子どもといっしょにいるほうが、はるかに疲れてしまう、いらだってしまう、いやになってしまうということがわかりました。
これは現代社会のひとつの側面で、人びとが多様なことに興味、関心、そして能力をもつようになったからです。一世代、あるいは二世代前の人たちは、興味や知識の幅がせまくて、あれこれやりたいことの関心も意欲もとぼしかったのだと思います。ですから、情報の少なかった時代の人は、自宅空間だけで子どもと向かい合っていることに、現代人のようなストレスは感じなかったのだと思います。もっとも、その当時の地域社会には、窮屈さのなかにも豊かな人間関係がありました。
(本文28~29頁より)
ブログを読んでくれているひとなので引き合いに出しちゃってごめんなさい、なのですが、私の友人で、ほぼ同時期に出産されたひとのお母さまが、こんなことを仰ったそうです。
「今の若いひとは、子どもを見ずにパソコンや携帯ばかりを見ている」
友人は、何も言い返せない、と言っていました。私もそれを聞いて、自省の念が起こったものだけれど、また一方で、釈然としないものも感じていた。
この一文を読んで、その釈然としないものの答えを与えられたような思いがした。
確かに子どもを見ない、というのはダメだけれど、それ以外の、自分自身の興味や意欲を全て捨て去って、子どもにばかり集中していろというのは、現代に生きている限り無理なのだ(そりゃ、できるひともいるだろうけどさ)。
さすが精神科のお医者様、いいこというなぁ。
こんなカンジで、「お、これは、」と思う箇所に付箋を貼りながら読んでいったら、本が付箋だらけになってしまった。
折に触れ読み返しながら、自分なりの育児を進めていけたら、と思う。